採用が経営を変えた瞬間 取締役CIO 宮本 昌明氏

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ゼロバンク・デザインファクトリー株式会社 / 取締役CIO 宮本 昌明

Vol.13

ゼロバンク・デザインファクトリー株式会社
取締役CIO 宮本 昌明

日系コンサルティングファーム、大手EC企業、ネット銀行を経て、2019年9月、ふくおかフィナンシャルグループに入行。デジタルバンク『みんなの銀行』のIT責任者として、(株)みんなの銀行 執行役員CIO 兼 ゼロバンク・デザインファクトリー(株) 取締役CIOを務める。

更新日:2021年12月29日

コンサルティングファームからEC、そして金融へ

まず私自身のプロフィールを紹介しますと、出身は広島で、小学生まで暮らしました。中学校から大学までは学習院、その後北海道大学の大学院を修了し、社会に出たのは1998年です。新卒で日系コンサルティングファームに入社し、アプリケーションエンジニアとデータベースエンジニアを数年ずつ経験しました。それから大手ECサイトやネット銀行を経て、2年前の2019年9月にふくおかフィナンシャルグループにジョインしました。

もともと、父がIBMに勤めていたので、小さい頃からパソコンが家にあって、プログラミングなどにも慣れ親しんでいました。それから、数学科を出たのですが、数学科を出るとほとんどが“教師かエンジニアか”という二択のようなものでしたので(笑)、エンジニアの道を選びました。前職では、「この会社で自分ができる範囲のことはやり尽くしたな」と感じていたときに、福岡銀行について知ったのがジョインしたきっかけです。前職までも、例えば“オンプレからクラウドへ”みたいなことは経験してきましたが、それを銀行で行うことのハードルの高さは理解していましたから、福岡銀行が力を入れていくということを知って、「尽力できそうだ」と感じました。それと、もともと地方が好きで、これまで大半を東京で暮らしてきましたが、東京だと隣にどんな人が住んでいるのか分からないということも多く、そういうのがあまり好きではなくて。近所付き合いとか、人情とか、“人間臭さ”みたいなものが結構好きなんですよ。自然も大好きなので、地方で一定の収入があり、やりたいことができるのであれば、そっちの方がいいなと思い、福岡で暮らすことを決めました。

入社直前に『みんなの銀行』立ち上げ参画が決まる

入社前は、福岡銀行の「クラウド活用」「DWH(データウェアハウス)活用」「次期勘定系システム構築」という3つの領域について話を聞いていたので、そういった領域に携わっていくんだな、と思っていたのですが、入社を半月後に控えた頃、ふくおかフィナンシャルグループが『みんなの銀行設立準備株式会社』の設立を発表。ほどなくして人事の方から「みんなの銀行をやってほしい」と言われました(笑)。少し驚きましたが、前職のネット銀行でも基盤システム構築などに携わっていたので、「経験を活かせそうだな」と感じました。以来、『みんなの銀行』のバンキングシステムを開発するゼロバンク・デザインファクトリー(以下「ZDF」)で、システムの全体像を描いたり、アプリケーションにどう落とし込んでいくかといった仕様検討、推進など一連の業務に携わり、現在は取締役CIOに就いています。また、株式会社みんなの銀行の執行役員CIOも兼務しています。

デジタルバンクをゼロから内製していく上で大切なこと

これまでのネット銀行とは違い、『みんなの銀行』は銀行としての機能を“すべて”、“ゼロから”、“スクラッチで”構築しています。まだお客様がいないところから、クラウドに振り切って形にしてきましたから、巷で言われる“オンプレ回帰”みたいなことはむしろ難しい文化です。そんな中、日々生まれる新しいクラウドサービスをスピーディーにキャッチアップして、『みんなの銀行』のシステムやサービスに取り入れていけないか、常にアンテナを張っておく必要があります。『みんなの銀行』の開発は内製しているので、自分たちで勉強する、触ってみる、ということがとても大切になっています。それから、内製していく上でもう一つ大切なのは、いかにエンジニアを始めとするメンバーにとって居心地の良い空気、組織をつくるかということです。“自分たちで”ということを確固たる土台にしながらも、“あれもこれも”という方針では疲弊してしまい、パフォーマンスも上がりません。アクセルとブレーキではないですが、そのあたりの見極めは特に気を付けているところです。

銀行業は開業から3年以内での黒字化を求められており、決して低いハードルではありません。ただ、私たちが参入した“スマホの世界”では、爆発的に伸びていく可能性が大いにあります。利便性が良く、カスタマーに“刺さる”サービスをつくり、届けていくことができれば、たちまち目標は達成できるのではないかと感じています。そのために、何を、どんな順番で、どんなスピード感で手掛けていくのかというディスカッションを社内で重ねていますし、それを自分たちで決めながら実行していけるのも、内製しているからこその強みではないかと思います。

フラットで自由な組織の中で

ZDFとみんなの銀行、両社のCIOという立場で全体を見たときに感じるのは、フラットさと自由度の高さです。組織こそ分かれていますが、目標は同じで、ただ役割が違うだけ。そこに壁はありません。よいものを作るために、「こういう方法はないだろうか」とか「こういうものをつくったけど、活用できないか」というのをそれぞれの専門知識を持ち寄って提案したりしています。そういったフラットさが、先ほどお話した“居心地の良さ”に繋がっていると思います。それから、銀行といえば「リスクを取らない」「関所が多くて時間がかかる」といった制約を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、それもありません。「こうしたい」というリクエストに対して、きちんとした裏付けがあれば、合理的かつスピーディーにジャッジがなされますし、“任せてもらっている”と実感しながらそれぞれの役割にコミットしています。

「都会だからできる」「地方だからできない」という垣根は無い

私はこれまで首都圏でキャリアを積んできて、今福岡にいる訳ですが、特にエンジニアの方からよく聞かれるのは、地方だと新しいものに触れにくかったり、スキルが劣化してしまうのではないかという懸念です。そういったイメージはあると思いますが、私がジョインしてから今までそのように感じたことはなく、むしろ技術的なレベルはかなり高いと感じています。銀行という高次元な技術力が求められる世界で、前人未到のチャレンジを続けている状態ですから、ともすると、ついていくのが大変なくらいです(笑)。頭取や副頭取といった経営陣とも距離が近く、メンバーに対していろんな発信をするので、「なぜこれをつくっているのか」「次に何をするのか」といった方針の透明性を確保していきたいと思っています。それから、コロナ禍によってリモートワークが常態化しましたが、特にエンジニアなどは場所の制約なく仕事にコミットしたりスキルを追求することが容易な時代になっていますよね。そういう意味では、「都会だからできる」「地方だからできない」という垣根は無いに等しいと感じます。決して私の価値観を押し売りする訳ではないですが(笑)、地方でやりたい仕事をしながらキャリアを伸ばすことは可能ですし、少なくとも私自身はこの決断をして正解だったと思っています。

編集後記

宮本様とは偶然にも同郷で、まったくの同い年ということを知り、一気に親近感が湧きました(笑)。幼い頃からパソコンやプログラミングに触れ、インターネットがやっと一般的になり始めた1998年にITエンジニアとしてキャリアをスタートしたということを伺い、いかにその世界に入るのが早かったか驚くとともに、幼少期の環境の大切さを感じました。また、コンサルティングファーム、大手EC企業、ネット銀行で経験を積んだ最前線の方が、地方銀行発のデジタルバンクの設立に参加されたということに、地方にも東京と同じかそれ以上の可能性があることを実感しました。

文:リージョナルスタイル認定コンサルタント 植田 将嗣

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