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時代を超えて息づく「メーカー商社」のDNAが、今日も世界の産業を支える。

リックス株式会社
代表取締役社長執行役員 安井 卓

更新日:2023年2月08日

1978年、佐賀県生まれ。福岡大学工学部~九州大学大学院総合理工学府修了。古河電気工業株式会社を経て2006年、リックス株式会社に入社。事業企画部長、海外子会社管理部長、取締役などを経て2019年4月代表取締役社長に就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

商品展開力と課題解決力を最大化する「メーカー商社」として。

当社は製造業の生産現場で使用される設備や装置、部品、資材、消耗品などを製造・販売しています。供給先は多岐にわたり、鉄鋼、自動車、電子・半導体、ゴム・タイヤ、工作機械、高機能材、紙・パルプ、食品など、あらゆるモノづくりの現場で当社の製品が活躍しています。

商社として2600社を超える仕入先を持ち、数万点にのぼる製品を取り扱う傍ら、自前の技術開発センターと工場を持ち、自社ブランド製品を開発・製造したり、複数のメーカーの製品を掛け合わせて、新たなオリジナル製品を生み出したりもしています。

これが『メーカー商社』を標榜する当社の最大の特長で、商品展開力と課題解決力をともに高めていける強みとなっています。

2016年には東証一部(現プライム市場)に上場。2022年に創業115年を迎え、現在では国内にとどまらず海外でもマーケットを拡大しています。生産現場のあらゆるニーズや課題に対して、ワンストップで製品やサービス、ソリューションを提供していけるよう、「顧客密着型」を追求し、強みに磨きをかけているところです。

100年企業のDNAを受け継ぐ。

当社のルーツは明治末期の1907年まで遡ります。足袋の卸売りから始まり、その後、官営八幡製鐵所に地下足袋を納めたのをきっかけに、鉄鋼業界を始めとして広く産業界と取引を持つようになりました。

それから業態をシフトしながら、1960年代には工場の稼働を開始して『メーカー商社』としての基礎を築き、1990年代には技術開発センターを新設。そして2000年代以降は海外現地法人の設立を加速させています。

長い歴史の中でいくつものターニングポイントを迎えている当社ですが、常に社会の変化を敏感に察知し、柔軟に対応すると同時に、目の前の顧客に徹底して寄り添うという“DNA”を脈々と受け継いできました。私は2019年に社長に就任した7代目となりますが、そのDNAは今後も守り続けていきます。

人生を変えた3つのターニングポイント。

私自身にとっても、いくつかのターニングポイントがあります。まず1つ目は、学生時代に文系から理系に転向したことです。

もともと英語が好きだったので文系学部に進もうと考えていましたが、高校時代の恩師に「君は理系ではないか」と言われたのを機に工学部に進み、大学院でも物質理工学を専攻することになりました。それから新卒で古河電気工業に入社。コイルに使われる巻線の被覆材の研究開発に携わり、技術者としての基礎を築きました。

そして2つ目は、結婚です。妻とは学生時代のアルバイト先で知り合い、私が就職して神奈川で暮らすようになってからは遠距離で交際していたのですが、結婚を機に福岡にUターンしました。2006年のことです。

それと同時に、妻の父が当時リックスの社長を務めていたことから、「リックスで働かないか」と打診を受け、転職することになりました。当初は技術者である私が商社で務まるのかという不安もありましたが、工場や技術開発センターを持つ「メーカー商社」であることが決断の後押しとなりました。

それから3つ目が、2008年から2年間、イギリスにMBA留学したことです。英語が好きだったとは言え、流暢に話せるわけではありませんでしたし、ましてや専門的な経営学を学ぶわけですから、どうなることかと思いましたね(苦笑)。

それでも、着実に英語を習得し、論文を発表していくうちに少しずつ周囲が自分の意見を聞いてくれるようになったんです。未知の領域であっても、リスクを恐れず足を踏み入れることの大切さについて身をもって学ぶ機会になりました。

次世代に向けた新規範の策定と実践。

私が社長に就任して3年あまりの中で、いくつか新しい取り組みを進めてきました。その1つが『RIXing Action(リクシングアクション)』の策定です。これは先ほどお話ししたDNAや、歴史、理念、社風などを明確に言語化し、9つの行動指針として定めたものです。

ポジションや立場、置かれている状況に応じて社員一人ひとりが解釈し、実践に繋げていける規範として、海外を含めてグループ全体に浸透させたいと考えています。

『RIXing Action Club』という社内サロンでは職域を超えたダイレクトなコミュニケーションを促進し、また最近では新規事業などに関するアイデアを社内公募する取り組みも始めています。新たな規範をもとに、私たちはどうあるべきか、顧客や社会に対して何を提供していくか、いかに活き活きと働いていくかといったテーマを実践していける人材づくり、組織づくりに注力しています。

それから、いわゆるDXも推進しており、顧客に対するIoTソリューションの提案強化や、社内においても基幹システムのリプレイスやSaaSの導入などを積極的に進めています。

『RIXing Action』にしてもDXにしても、社内に混乱を招かないように、また、きちんと成果に繋がるように留意しながら少しずつ進めているのが実情ですが、それでも先日、あるベテラン社員から「社内の雰囲気が変わってきた」という言葉を聞き、とても嬉しく感じました。

団結を力に。「協創」で次の100年を切り拓く。

今後の大きなトピックスとしては、『リックス協創センター』の建設で、2024年中頃の完成を目指しています。これまで、世界でもトップクラスのシェアを持つロータリージョイント(回転継手)を始め、多くの製品を生み出してきた当社ですが、次の柱となる製品やサービスを開発するため、新たな研究開発拠点の開設を決定しました。

既存の技術開発センターは主に既存製品の付加価値向上やその周辺に関する製品・サービスの開発を役割とし、協創センターは既存の製品・サービスにとらわれない顧客課題・社会課題の解決のための開発を担っていきます。この“協創”には、自社だけでなく、顧客や仕入先、大学や研究機関など、様々なパートナーとともにソリューションを創造していきたいという思いを込めています。

もちろん協創を推進する上では、これからお迎えする方々の力も不可欠です。かつて私自身がそうであったように、新しい環境に飛び込むのは勇気が必要なことだと思います。しかし、その一歩が未来を切り拓くということを私は信じています。

『RIXing Action』の中には、「一丸となって団結に徹せよ」という項目があります。個人では限界があることでも、それぞれが互いの得意を発揮し、補い合うことで、高い壁を乗り越えていける、と。

私たちは、あなたの一歩を尊重し、団結の力へと変えていきます。ぜひ私たちとともに、「次の100年」を切り拓いていきましょう。

編集後記

チーフコンサルタント
原田 昌和

実直なお人柄が際立つ安井社長。丁寧に言葉を選びながら、いろいろなエピソードをお話しくださいました。特に印象的だったのは、学生時代の恩師、奥様、リックス社の先代経営者たち、留学先の学友といった“人との出会い”をとても大切にしてこられていることです。

人生の岐路や決断場面には必ず誰かの存在があり、その人から受ける影響をまずは素直に受け入れる。その上で自分なりの答えを導き出したり、あるいは糧にしていく。そんな姿勢が安井社長のお人柄となって表れており、また、私がリックス社に対して感じる“雰囲気の良さ”にも繋がっているのではないかと思います。

社員はもちろん、顧客、株主など、関わる人たちとの関係を何よりも大事にしておられる安井社長だからこそ、「協創」に込めた思いにも説得力があり、きっと今後の同社にとって、大きな原動力となっていくのだろうと実感するインタビューでした。

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