企業TOPインタビュー

OT×IT×プロダクトの独創技術を活かし、 サステナブルな社会の実現に貢献する。

株式会社正興電機製作所
執行役員 経営統括本部 人材活性推進部長 山口 満

更新日:2023年3月29日

1962年 佐賀県出身。
1985年 株式会社正興電機製作所入社。情報システム事業部門においてソリューションビジネスの設計、開発などに携わる。
2005年3月 正興ITソリューション株式会社 取締役に就任。
2017年6月 正興ITソリューションフィリピン,INC 代表取締役社長、2019年に正興電機製作所 執行役員兼務。
2020年3月 人材活性推進部長を兼務し、2021年3月、当社執行役員 情報副部門長 兼 人材活性推進部長に就任し現在に至る。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

技術力で日本のインフラを支える。

正興電機製作所は電力・水の2大インフラを中心に、OT(制御)×IT(情報)×プロダクト(ものづくり)の技術を活かして幅広く事業展開する福岡本社の企業です。

電力分野では、電力系統の運用状況や気象状況を常時監視して変電所に設置している機器の遠隔制御や送電線等の操作を行う「総合制御所システム」、配電線の運用状況を常時監視し、電柱などに設置している配電機器の遠隔制御を行う「配電線自動制御システム」など、オフィスビルや家庭へ安定した電力を供給するために必要となる制御システムや高性能でコンパクトな配電機器などを開発から手掛けています。

また、環境エネルギー分野では、浄水設備の運転状況を監視して水質に合わせた最適な水処理制御を行う「浄水場監視制御システム」、下水処理設備において汚水を流出させることが無いよう運転状況を監視しコントロールする「下水処理監視制御システム」、メダカの動作特性を応用し浄水場や工場廃止の水質を24時間監視する「水質監視装置」、高速道路トンネルの照明・換気設備の非常用発電設備や受変電設備など、公共インフラを監視制御するシステムや製品・ソリューションを提供しています。

変わりゆく時代に変わらない信念。

当社は2021年に創業100周年を迎えました。第一次世界大戦後の極めて厳しい経済環境の中、電気機械器具の商社としてスタートしたのが当社の始まりです。当時は多くの分野における技術を欧米に依存していた時代です。第二次世界大戦後には日本中の生産設備が壊滅的な打撃を受けながらも悪戦苦闘を繰り返しながら困難な時代を乗り越えてきました。

日本経済が回復期に入ると、産業の発展とともに電力設備や社会インフラが拡充され、高度な電源設備や制御装置の需要が高まり始めます。そんな社会や時代のニーズ、環境変化を真正面から受け止め、「最良の製品で社会貢献する」という信念を胸に、最新の技術習得と積極的な製品開発に取り組み続けたことにより、それが現在の核となる電力分野や環境エネルギー分野の事業へと発展しています。

次の100年に向けて試される底力。

現在では、この電力・環境エネルギー分野の売上が、会社全体の7~8割を占めるほどの大きな柱となり、安定事業に育ちました。しかし、100年の歴史を振り返り感じることは、激動の時代を切り拓き数々の困難を乗り越えてきた諸先輩方のメンタリティや正興電機製作所のDNAに刻まれているのは“安定”ではなく、“挑戦”そして“変化”です。

100年を越え、次の100年に向けても社会や時代のニーズ、環境変化を真正面から受け止め、最良の製品、そしてサービスで社会貢献するという信念は変わりません。時代の変遷とともに事業の核を進化させてきた我々の底力が試されているように思います。

サステナブルな社会の実現に貢献する。

2022年、新たな中期経営計画の5か年計画がスタートしました。この中期経営計画の中で重要な柱の一つが「ESG(Environment/環境、Social/社会、Governance/ガバナンス)」であり、事業を通じて環境問題の解決に取り組んでいきます。

既に再生可能エネルギー領域の事業として、太陽光・風力・水力などの電源設備や家庭用蓄電池、コンパクト水力発電システム、ソーラーカーポート、中容量蓄電システムのラインナップ化など、独自の製品・システムを製品化しており、国内だけでなく拠点展開をしているマレーシアや北京、大連、フィリピン、シンガポールなど、アジア各国への投入も考えています。

もう一つの成長の柱は「デジタル」です。当社はカタチある製品、ハードが強いというイメージを持たれるかもしれませんが、1983年から情報システム開発を手掛けはじめ、データセンターを核としたサービスプロバイダー事業を展開しています。

その中の一つ、港湾関連事業者向けの業務支援システムでは国内シェア6割を押さえています。また、自社開発のIoTセンサを使った保全業務のDX化、AIカメラやARグラスを活用し生産性を上げるAIクラウドソリューションなど、既存の事業にデジタル技術を組み合わせることでこれまでにない付加価値を提供し、社会課題解決につなげていきたいと考えています。

リーダー育成とキャリア採用で新時代の企業文化を。

このように次の100年に向けた挑戦、そして変化のうねりをより大きなものにしていきたい。「オープンイノベーション室」の開設もその一つです。デジタルイノベーションによって社会は加速度的に変化しています。その変化のスピードに対応できなければ事業が成り立たなくなってしまいます。だからこそ繰り返しになりますが、失敗を恐れず新しいことに積極的に挑戦し、そして変化していく必要があるのです。

当社は以前より後継者育成や中核となる人材育成に力を入れてきました。引き続き次世代を担う人材育成に力を注ぎながら、同時に外部で専門性を磨いた人材やグローバル人材などキャリア採用も積極的に行うことで新時代の正興電機製作所の企業文化をつくっていきたいと考えています。

編集後記

チーフコンサルタント
瀬川 泰明

「創業100周年」、「電力・水の2大インフラ」といったキーワードから、“どっしりとした経営基盤の安定企業”とイメージされるかもしれませんが、私自身、今回のインタビューを通して、それは大きな間違い(先入観)であることが分かりました。

当たり前のことですが、どんな会社であれ100年続くには続くだけの理由があります。同社においても技術的な面はもちろんですが、山口様が仰っている通り、新しいことに果敢に挑戦し、柔軟に変化をしてきたことが大きな理由だと感じました。

また、山口様は「お客様が少しでも楽になることを」、「お客様視点」、「お客様の要望」など、常にお客様起点で何ができるかを考え続けていらっしゃるのが印象的でした。その変わらない信念こそが同社のコアコンピタンスと言えるのではないでしょうか。

企業TOPインタビュー一覧

ページトップへ戻る