株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズ
大田佳彦さん(仮名・ベンチャーキャピタリスト) 33歳
コンサルタントからベンチャーキャピタリストへ。成長産業への投資を通して、地元福岡の発展に貢献する。
外資系コンサルティングファームでストラテジーマネージャーとして数々のプロジェクトに携わってきた大田さん(仮名)。「多極的な日本経済の発展に向けて自分ができることとは――」、その一歩を地元福岡でベンチャーキャピタリストとして踏み出した大田さんに、転職活動と現在の生活を伺った。(※本記事の内容は、2019年4月取材時点の情報に基づき構成しています)
- 転職回数
- 0回
- 転職期間
- エントリーから内定まで31日間
転職前
- 業種
- コンサルティングファーム
- 職種
- 戦略コンサルタント
- 業務内容
- 通信業界を中心に製薬・金融業界など、幅広い分野のコンサルティング業務。
転職後
- 業種
- 銀行
- 職種
- ベンチャーキャピタリスト
- 業務内容
- ベンチャーキャピタリストとして投資先の開拓、投資判断。事業運営のサポートなど。
地方都市で働きながらでも日本経済の発展に貢献できる。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
福岡のスタートアップ企業や、AI、IoT、RPAといった分野のテクノロジー企業に対して、ベンチャーキャピタリストとして投資をしています。福岡は九州の中でも流入人口が多く、スタートアップ企業がどんどん立ち上がっていますので、その立ち上げや成長、新たな産業の創出を後押しできるように、さまざまな支援を行っています。
入社前のご経歴を教えてください。
コンサルタントとして約8年、通信業界を中心に製薬・金融業界など、幅広い分野のコンサルティング業務に従事していました。主に事業部を横断した経営戦略や営業・マーケティング戦略、M&A・PMI戦略の策定・実行を支援し、仮説の立案からリサーチ・検証、中期戦略や実行計画の策定といった一連の戦略コンサルティング業務を経験しました。2015年12月からは管理職としてチームマネジメントや予算管理、採用活動なども担当しました。
転職のきっかけは?
今回の転職には、明確な目的がありました。それは、「これから発展が見込めそうな地方都市で、ベンチャーキャピタリストとして働く」ということです。前職のときと変わらず、日本経済の発展に寄与したいという思いは変わらないのですが、これからの日本経済の発展は、一極集中ではなく多極的に、地方都市が盛り上がっていかないといけないと感じています。東京ではなく地方都市でと考えた際に、いくつかの指標を通じて検討しましたが、最終的には生まれ故郷である福岡にUターンすることを決めました。
転職活動はどのように進めましたか?
実際に転職活動をする1年ぐらい前から、将来のキャリアについて考え始めました。そのときにも転職エージェントの方にご相談しましたが、結局、活動は継続せず、自分のイメージを固めてから動こうと決めました。今回は転職に関して明確なイメージがありましたので、「ベンチャーキャピタリスト」などのキーワードで検索して、ヒットしたいくつかの中から気になるサービスを選んでいきました。リージョナルキャリア福岡で相談しようと決めたのは、「暮らしたいところで思いきり働く」というコンセプトや、「そろそろ帰ってこいよ!」というキャッチコピーを見て、大袈裟ではなく“まさにその通りだ!”と思ったのと、コンサルタントの方が書かれているブログを見て、ぜひお話してみたいと思ったからです(笑)。
今の会社に決めたポイントは?
もともと前職のようなコンサルティングファームを志向したのは、業界や会社を幅広く俯瞰したいと思ったことと、自分自身の市場価値を特定分野でなく幅広い分野で高めておきたいという思いからでした。また、就職活動をするときから、日本経済の発展に寄与できる仕事がいいとも思っていました。実際に入社して8年余りで、入社当初に考えていたことの多くは経験できたように思います。一方で、問題意識を感じることも出てきました。例えば、「日本の経済は一極集中しすぎているのではないか」という点です。高度成長期のようにメーカーを中心に発展する際にはどうしても一極集中したほうがいいですし、集中せざるを得ないところもあったんだと思います。ただ、多極的な発展ではない分、何かあったときにリスクが高くなります。また、前職は全世界に展開する企業でしたので、様々なカルチャーがあり、カウンターカルチャーが根付くほど多様性に富んでいました。対して、日本には多様性を認める土壌が少ないと感じています。こんな風に、自分なりの問題意識や課題感を持つ中で、前職で経験したことを、いよいよ自分の故郷に活かしていきたいという思いが強くなっていきました。そうしたときに、ふくおかフィナンシャルグループにベンチャーキャピタリストという仕事があるのを知り、福岡はもちろん、九州の経済発展の一翼を担えるという点に惹かれ、是が非でもここで働きたいと思い入社を決めました。
30代まで全力で働いて実力がついたら、今度はそれを暮らしたい場所で活かしたい。
転職していかがでしたか?
まだ入社して2ヶ月半ということもありますが、あっという間に過ぎた印象です。前職と今の仕事で変化したことは何と言っても仕事環境です。今は自社オフィスでの業務がメインですが、以前はクライアント先に常駐していましたので、絶えずクライアントの厳しい目がある中での業務でした。今思えばプレッシャーを感じ続けていたように思います。今はクライアント先に訪問はしますが、常駐することはありません。職種もコンサルタントからベンチャーキャピタリストに変わり、クライアントからの期待や接し方もまったく変わりました。また、東京暮らしであれば当然なのかもしれませんが、出勤時には満員電車に揺られ、帰宅は早くて23時頃、遅くなれば終電に間に合わないこともしばしばでした。今はだいたい18時台には仕事を終え、“満員ではない電車”で帰宅しています(笑)。以前とは比べ物にならないぐらい、時間がコントロールしやすくなっているのも大きな変化ですね。
生活面での変化はいかがですか?
福岡に戻ってきてから思うのは、東京にいるときはプライベートがとても少なかったということです(笑)。仕事と移動時間が大半を占めていたのだと、あらためて感じました。プライベートの時間をどう活かしていくかはまだまだこれからなのですが、仕事のスタイルや業務時間、通勤にかかる時間も大幅に短縮されましたので、これからはしっかりとプライベートも楽しみたいと思っています。実は、妻は愛知県出身で、もともとは今回の転職に不安を抱えていました。その一番大きな理由は、東京での暮らしがとても気に入っていて、縁もゆかりもない、もちろん知人もいない福岡での生活で、大きく環境が変わることに抵抗があったようです。ただ、今回の転職の背景や将来のイメージを丁寧に話し合って、最終的には今回の転職に賛成してもらえるようになりました。今は出産のため愛知に帰省していますが、今回福岡に引っ越すにあたって、どんな場所でどんな暮らしをするか検討する期間はかなり短かったです。そのため、まだ福岡で「これだ!」というシチュエーションが達成できていない感じがあります。おそらくですが、それを達成するため、そう遠くないうちにもう一回引っ越しをするかもしれません(笑)。
転職してよかったと思うことは?
今回の転職によって、ほとんどすべてと言っていいほど、いろんなことが好転しました。職場では定期的に懇親の場がありますし、個別に声をかけてもらえることもあります。仕事中も気さくに話しかけてもらえますし、銀行のグループなのでもう少し“堅い”かなと思っていましたが(笑)、そんなことはなく、とても風通しがいいと感じます。また、転職して、というよりは福岡に移り住んでみて強く感じることですが、どこで食事をしても美味しいものばかりで驚いています。これは声を大にして言いたいですね。正直、もう東京の暮らしには戻れそうにありません(笑)。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
私の場合は選考にともなうスケジュール管理が大変だろうなと想定していたので、その点はあらかじめコンサルタントの方に相談しました。自分の希望を伝え、それに対してアドバイスをいただく中で、多くの企業を並行して進めることは自分にとっては違うと思いましたし、転職の目的を果たせる企業はそう多くないということも事前に分かりました。結局、受検したのはふくおかフィナンシャルグループ1社のみです。どのように選考に臨むかといったアドバイスもいただけて、とてもありがたかったです。自分だけで動いていては想定できなかっただろうなということも多かったですし、コンサルタントだからこそ知っている情報やアドバイスもいただけたので、とても役立ちました。活動を開始するタイミングで、まずはコンサルタントの方に相談して、活動の方向感を定めることが大切だと感じました。