2021.05.27
福岡市の発展は水不足のおかげ?水事情から見る産業の変化
福岡市では一級河川がないこともあって、過去に何度か大きな水不足を経験しています。かつて私が福岡で学生生活を送っていた頃にも、給水制限がありました。平成6年(1994年)のことです。アパート暮らしだったため、夕方に帰宅してシャワーを浴びると、貯水槽に残っていた水が勢いなく出たのを思い出します。
昭和53年、給水に並ぶ団地の住民(出典元)西日本新聞
"昭和53年には異常少雨により渇水が発生し、287日にも及ぶ長期間の給水制限により、市民生活や社会活動に多大な被害をもたらしました。
<中略>
平成6年には気象観測始まって以来の異常少雨となり、近郊河川だけでなく筑後川の流量も減少し、再び295日間にも及ぶ長期間の給水制限を経験しました。"
(引用-福岡市水道局)
一級河川がないのは、政令指定都市の中で福岡市が唯一。そのため、節水や水の有効利用はもちろん、新たな水資源の確保にも着手しています。また、福岡地区水道企業団が事業主となって、海水を淡水化する施設を稼働させています。そうした取り組みの結果、2005年は観測史上で3番目に少ない降水量だったにも関わらず、給水制限を回避することができました。すごいぞ福岡!
一方で、水源を持たない都市であることが、最近では追い風になっている側面もあります。豊かな水源ゆえに工業地帯として栄えた歴史を持つ日本の各地域ですが、福岡市は水源がないことから、工業地帯としてではなく都市型産業に特化。そのことが現在の目覚ましい成長へと繋がっているのです。
"工業用水や工業団地を確保できない福岡市では早くから「都市型産業」への特化を目指し、その結果、卸売・小売業やサービス業などが発達。現在では第3次産業が9割以上を占め、人口100万人を超える国内12都市の中でトップとなっています。最近では「天神ビッグバン」、「博多コネクティッド」と呼ばれる再開発事業が進み、商業都市としての成長を加速させています。"
(引用-リージョナルLIFE)
今では福岡市といえば多くのスタートアップ企業を擁し、また、「七社会(互友会)」と呼ばれる地場大手企業(九州電力・福岡銀行・西部ガス・西日本鉄道・西日本シティ銀行・九電工・九州旅客鉄道(JR九州))なども様々なチャレンジを続けています。デジタルバンク『みんなの銀行(ふくおかフィナンシャルグループ)』や再生可能エネルギー開発(九電みらいエナジー)などは全国ニュースで目にすることも少なくありません。
恵まれない水事情がこういった産業の誕生や成長を加速させていると思うと、本当に街って不思議だな~と思う今日この頃です。
それでは、今日はこのへんで。