2024.06.23
プロが解説!福岡へのU・Iターン転職に関するよくある質問①年齢編
リージョナルキャリア福岡のコンサルタント、原田です。
私は福岡へのU・Iターン転職を支援するキャリアコンサルタント(※)として、日々多くの方々のご相談をお受けしています。
(※)国家検定 2級キャリアコンサルティング技能士
その中で、よく尋ねられる質問がいくつかありますので、一つずつ取り上げながら掘り下げて解説していきます。第1回目となる今回は「年齢」に関する質問です。
質問「何歳ぐらいでU・Iターンする人が多い?」
U・Iターンと同時に転職を考えている方が圧倒的に多いため、やはり皆さん年齢については気になるようです。
「令和4年雇用動向調査結果(厚生労働省)」によると、転職者の年齢は「25~29歳」が最も多くなっていますが(参照-PDF)、U・Iターン転職の場合は少し状況が異なり、「32歳~37歳」と「45歳前後」が多くを占めます。
これは、それぞれの世代が持つ「U・Iターン転職を考える理由」に答えがあります。
ケース①32歳~37歳
この世代がU・Iターンを考える理由でもっとも多いのは「子育て」です。
特に、「自身(あるいは配偶者)が生まれ育った福岡で、のびのびと子どもを育てたい」「福岡で暮らす親(子どもにとっての祖父母)のサポートを受けながら、育児負担を減らしたい」といった理由が多く見受けられます。
また特徴的なのは、「第1子(長子)が小学校に入学する前にU・Iターンしたい」と考える方が多いことです。
小学校に入学すると、その後に転校させるのは忍びない、などの理由から、小学校入学を1年~2年先に控えた頃(子どもが4歳~5歳の頃)にU・Iターンを考えます。そうすると、自身の年齢としては32歳~37歳となるケースが増えます。
加えて、「自分の転職のことを考えて」という背景もあります。この世代はいわゆる「即戦力」として転職市場における市場価値も高く、「転職しやすい世代」と言えます。
ちなみに、かつては「35歳転職限界説」もささやかれていましたが、現在はその傾向が薄れており、実際に私たちが転職を支援している方々の平均年齢は35.9歳です。
(参考)2024.01.12 転職成功者プロフィール【2023年通期版】を公開しました。
さらに、人によっては「家を持ちたい」という希望が加わることもあります。「子どものこと」「自分の転職のこと」「この先のライフプラン」と考えたときに、この世代が「一番ちょうどいいタイミング」と判断することが多いのです。
転職に関するアドバイス
福岡県の中でも福岡市は「若者が多いまち」というイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、これはデータにも表れています。
福岡市のシンクタンクである「(公財)福岡アジア都市研究所(URC)」が発行しているデータブック、「FUKUOKA GROWTH 2022」によると、福岡市の15~29歳の人口比率(若者率)は17.6%で、大都市の中で最も高くなっています。つまり、若者の就労者や転職者(転職希望者)も多いと言えます。
その中で、32歳~37歳の世代が転職を成功させるためには、"若者"とは異なる強みをより明確にしていくことが欠かせません。
キャリアを積むことで身につけたもの、つまり業務上必要なビジネススキル(テクニカルスキル)、コミュニケーション能力やリーダーシップといったヒューマンスキル、人としての成熟度など、自身が「どんな強みを、どのレベルで持っているのか」をしっかりと言語化し、説得力をもって第三者に伝えられるかが重要となります。
ケース②45歳前後
この世代がU・Iターンを考える理由でもっとも多いのは「親のサポート」です。
「親も年を取り、心配事が増えてきたので近くにいてあげたい」「いずれ介護が必要になるかもしれないので、そのときを見越して今のうちに準備を始めておきたい」といった理由が多く見受けられます。
この世代で特徴的なのは、「年収に対するこだわりが強い」方が多いことです。
住宅ローンや子どもの教育費用、自身の老後費用など、お金に対してシビアに考える方が多く、「できるだけ年収を下げずにU・Iターンしたい」と希望される方が少なくありません。
一方で、令和5年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)によると、都道府県別の賃金を比較すると、福岡の平均賃金は東京を100とした場合80.6、大阪を100とした場合87.4となっています(参照-PDF)。つまり、東京と比べると約2割、大阪と比べると1割強、賃金相場が低いという状況です。
このような状況の中で、「本当に現在(都市部)と同等の年収が必要なのか」「年収が下がることを前提としたときにU・Iターンは検討できないのか」といった点を考慮し、より正確なコストシミュレーションやライフプランの設計を行うことがポイントになると言えます。
転職に関するアドバイス
45歳前後の転職希望者に対して企業側が求めるのは、「管理職(またはその候補)」や「スペシャリスト」としての活躍がもっとも多くなります。
その場合、32歳~37歳の世代と同様に、自身の強みをしっかりと言語化し、説得力をもって第三者に伝えることが当然重要です。さらに、管理職・スペシャリスト(ひいては高年収)での転職となると、全体に占める求人の割合も少なく難易度も上がるため、転職活動に時間がかかる可能性も念頭に置いておく必要があります。
このとき私たちがお勧めしているのは、「いよいよ」という時期の遥か前から準備を始めることです。45歳前後になったときに転職戦線で勝つための武器を、30代のうちに選定し、磨いておくのです。
実際に45歳前後になってから「武器がない」と慌てても、そこから「攻撃力の高い武器」を調達することはかなり難しいのが実情です。早いうちから中長期的な視点で転職プランを立てていくことが重要です。
まとめ
今回はU・Iターン転職に関する「年齢」についての疑問にお答えしました。
いずれの世代においてもポイントになるのは、「1~2年後、あるいはそれ以上の数年後」をしっかりと見据えることにあると言えるかもしれません。
「求人を探す」「面接を受ける」といったことだけが転職活動ではありません。中長期の視点でキャリア(ライフキャリア)を描き、それを実現するためのプランニングを行うことこそ、転職活動の第一歩だと考えます。
もし「そのとき」を見据えて第一歩を踏み出したいという方は、まずはリージョナルキャリア福岡の相談会にご参加ください。
福岡へのU・Iターン転職に強みを持つコンサルタントが、中長期で伴走します。
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