採用が経営を変えた瞬間

企業TOPインタビュー

福岡を代表する企業の経営TOPに、事業ビジョンと期待する人材像についてお聞きしました。

よりよい成分 よりよい化粧品-価値観に基づく経営と人材採用。

三省製薬株式会社
代表取締役社長 陣内 宏行

更新日:2022年3月30日

1965年 福岡県大牟田市生まれ
1988年 同志社大学卒業
1988年 ブラジルで就業
1990年 山之内製薬(現:アステラス製薬)入社
1995年 三省製薬入社
2003年 三省製薬代表取締役社長就任
※所属・役職等は取材時点のものとなります。

明治時代から続く老舗の4代目として

当社のルーツは明治時代までさかのぼります。私の曽祖父が大牟田市で創業した「陣内三省堂薬局」という薬局が当社の前身で、そこから製薬部門を独立させて立ち上げたのが三省製薬です。以降、ファミリー企業として跡を継ぎ、2003年から私が社長に就いています。父の代までは3代続いた薬剤師だったのですが、私は薬剤師ではありません。大学を卒業後、多民族国家に興味があったのでブラジルに渡り、コーヒー農園で働きました。ほどなくして帰国し、1990年から5年ほど山之内製薬(現:アステラス製薬)でお世話になったのですが、そこではライセンスに関する仕事をしました。日本で開発された医薬品を海外で販売するために、あるいは海外で開発されたものを日本で販売するために、機密保持契約やライセンス契約、供給契約といった交渉ごとの取りまとめを担当しました。英語も一生懸命勉強しましたね。ちなみに、このときの経験は今も活きており、例えば当社の美容成分の売上は約40%を海外が占めていますが、そういった海外との取引における交渉や契約といったプロセスは山之内製薬での経験がベースになっています。そして1995年、父を手伝うために福岡に戻り、三省製薬に入社しました。

属人的なものづくりをシステマチックに

入社後は取締役として、まず、品質管理・品質保証の部分に携わりました。ちょうどその頃、佐賀県に工場を建てて操業し始めたのですが、不良品を多く出してしまっていました。そこで工場の中にあった品質管理室という部門を格上げして社長直轄の部門にし、私が統括しながら各部門に指示が出せる体制に。それからISO9001も取得しました。当時はまだ「勘」や「コツ」といった属人的なものに頼っている状態でしたので、ものづくりをシステマチックに進めていくように舵を切り出したのがこの頃です。そして、少しずつ品質が安定・向上するようになり、システムの中である程度現場に任せられるようになってきたところで、私は、生産・開発・営業・マーケティングといった領域にリソースを割いていくようになりました。そして2003年に、社長に就任しました。「会社を継ぐ」という意識はそれほどしていませんでしたが、幼いころから忙しく働く父を見ていましたので、子供心にも「力になりたい」という思いは持っていたように思います。

危機を乗り越え、自社ブランドで新規顧客を獲得

私が社長に就任した頃、実は会社は危機に瀕していました。というのも、当社が開発した「コウジ酸」という美容成分があるのですが、これに発がん性の疑いがかかり、使用禁止になってしまったんです。コウジ酸を自社製品やOEM製品に使用できなくなり、信用も失ってしまったことで、売上は大きく落ち込み、1年後には3分の1ぐらいになってしまいました。のちに安全性を証明し、2005年からは使用の再開が認められましたが、一度離れてしまったお客様を取り戻すのはかなり苦労しました。そういった過去を経て、現在注力しているのは、自社ブランド『DERMED(デルメッド)』の強化です。DERMEDは1993年にスタートし、順調に成長していましたが、コウジ酸の一件があり、さらに2010年頃からは化粧品の通販事業者も増え、新規顧客の獲得コストも上昇していました。そんな中でいかに自社製品を差別化し、ブランドをつくりあげていくかということに力を注いでいます。現在ではDERMED製品が60%、OEM製品が25%、美容成分が15%という売上構成になっています。

自分たちが大切にしたい価値観を明確にする

ブランド戦略を強化していく上で特に力を入れたのが、自分たちが大切にしている「価値観」を明確にするということです。当社は美容成分と化粧品どちらも手掛けており、言わば化粧品の一番最初から最後までカバーしているわけですが、実は化粧品業界においてはかなり珍しいことです。そこには、優れた美容成分をつくり、優れた化粧品をつくることを突き詰めていきたい、研ぎ澄ましていきたいという私たちならではの価値観があって、「よりよい成分 よりよい化粧品」というものづくりのコンセプトに繋がっています。また、営業面では、従来は自社を「美容成分と化粧品を売る会社」と定義していましたが、現在は「化粧品に関するすべてのサービスと商品を売る会社」という位置付けに変えています。ですから、OEM案件に関しても、美容成分の安全性試験だけ受託する、化粧品の有効性試験だけ受託する、薬事に関連する業務だけ受託する、といったように、より柔軟に広がりをもって対応しています。自分たちの価値観をしっかり商品やサービスに反映することで“三省製薬らしさ”を際立たせ、オンリーワンの地位を確立していきたいと考えています。

価値観は常に社員とチューニング

こういった「価値観」は、人材採用においても大きな意味を持っています。私たちが大切にしている価値観と、入社してくれる方の価値観が一致しているかという部分ですね。例えば、「再現性の高い仕事をするためには手順書が必要だ」とアナウンスしたときに、「なぜ手順書が必要なのか」と社員からリアクションが返ってきたとします。そうすると、「手順書は大切だと思っているが、必要はないと思っているのか」、「手順書が大切だということを理解していないのか」「決められた通りに仕事をすることが嫌なのか」といったことを、その都度確認して、説明していかないといけません。あるいは、そのプロセスを経て共通認識を持てたとしても、“その場限り”になってしまうこともあるかもしれません。そうではなく、基本的な部分で、「私たちはこういうことを大切にしていますよ」という価値観を入社前に理解し、共感してくれる方に入社していただきたいと思っています。かつては、社員の成果が出ないとき、往々にして「やる気がないのか」「仕事の与え方が悪いのか」と捉えていましたが、振り返れば、そもそも互いの価値観がズレていたのだと気付いたんです。当社で自己実現したい、仕事を通じて何かを成し遂げたい、やりがいを感じたい、そういった思いを持って門を叩いてくれる方に対して、当社が正しく価値を提供できるのか。入社前、あるいは入社してもらってからも、“価値観のチューニング”を大切にしています。

“昔ながらの中小企業”からの脱却を加速させる

当社の長い歴史の中で採用や人事を振り返ると、“老舗の中小企業”によくあることかもしれませんが、ハレーションが生じることを嫌う風土がありました。「仲良しであること」「平和であること」を重視するというか(苦笑)。それではダメだと、現在は管理職クラスや幹部クラスも外部から採用したり、本質的な人事を行うようにしています。まだまだ苦労しているところではありますが、中途入社したメンバーが開発系の役員に就いていたり、周囲に良い影響を与えながら活躍してくれている様子を見ると、やり方は間違っていないのかなと感じています。お客様のために、そして社員のために、“当たり前にあるべき姿”を追求しながら、会社としての価値を一段ずつ高めていきたいです。

創業にまつわるお話、社長就任とタイミングを同じくして起きたコウジ酸に関する出来事、マネジメントを進めていく上での葛藤・・・それらのことがあって、現在の「より良い成分 より良い化粧品」というものづくりのコンセプトに至られたのだと知り、とても共感しました。また、同社が化粧品メーカーとして珍しい点は、美容成分と化粧品どちらも手がけられていること。提携農家にて、美容成分の原料となるローズマリーの無農薬生産に取り組むという徹底ぶりには驚きました。インタビュー後には、化粧水のサンプルを頂きました。化粧水を使用したのは生まれてからほぼ初めてでしたが(笑)、その使い心地の良さに、さらに同社への好感が増しました。

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