脈々と流れる中小企業支援のDNA。全方位型支援で地域のお客様の発展に貢献する。
株式会社西日本シティ銀行
執行役員 人事部長 兼 人財開発室長 戸川 康彦
1990年、法政大学社会学部卒業後、株式会社西日本銀行(現 株式会社西日本シティ銀行)に入行。入行以来18年間営業店にて勤務の後、融資部(本部)を経て、日田支店長、天神支店長を歴任。2018年1月人事部長に就任し、現在に至る。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
現場目線を忘れず、これまでのやり方や常識にとらわれない。
まず私のプロフィールをご紹介しますと、1990年に入行し、ほとんどの期間、営業店で法人営業をやってきました。4年ほど本部融資部も経験しましたが、33年のキャリアのうち営業店での勤務が通算で24年です。
支店長としては2つの支店を経験し、福岡市の中心にある天神支店の支店長をしていた時に、急に本部に呼ばれて「来月から人事部長だ」と言われまして(笑)。そこで、それまでとは全く畑違いの職務を任されることになりました。
人事部長となり丸5年が過ぎましたが、お話しした通り、それまでは人事部での経験は一切なく、人事に関しては素人でした。しかし、現場目線で本部や全体を見た時に、「ちょっとこれはおかしいな」と感じることがたくさんあり、それらの改善に一つずつ取り組んできました。
そのうちの一つが人事情報の一元化・データベース化です。以前は人事情報が紙であったりExcelであったり、場合によっては人事部員の頭の中であったり、バラバラに散在していました。それらを一元管理し可視化することで、中長期的な人事戦略・配置などを検討しやすい状態にしました。
また情報が散在している状態では、それを使いこなして対応できるベテラン社員に頼らざるを得ず、その結果、人事部員の在籍が長くなるという傾向もありました。
業務の標準化は属人化の解消でもあり、それによって中長期で継続性のある戦略を考え実行していけるようになりました。私は根がバンカーですし、常に現場目線で、これまでの人事部のやり方や常識にとらわれなかったからこそ変えることができたように思います。
私たちは何のために、誰のために存在しているのか。
私は立場上、職員研修の場で講話する機会も多く、その際に「バンカーとしてのやりがい」をよく話したりします。具体的にはリーマンショック当時のことで、私が天神支店の副支店長を務めていた頃の話です。
リーマンショックの影響で福岡でも多くの企業倒産が起こりました。なんとか企業を守ろうと懸命に努めましたが、守れた先もあれば残念ながら守れなかった先もあります。今思い返しても非常に辛い経験です。
それから6年程経って、支店長として再び天神支店に戻ることになりました。時代はずいぶん良くなっていたものの、当時の辛い経験から、お客様がどう思っていらっしゃるか非常に不安な気持ちでした。ところが、多くのお客様から「あの時、戸川さんが力になってくれたおかげで今がある」というお言葉を頂けたんです。
お客様が好意的でこちらを向いてくれていたため、その後の支店運営は非常にうまくいきました。何の見返りも求めず、誠実にお客様に向き合ってきたことが何年も経って成果として返ってくると身をもって経験しました。こういった“バンカー冥利”につきる経験を後世に伝えていきたいという思いがあり、機会があれば話をするようにしています。
このような話をすると「人事部長らしくない」と思われるかもしれませんが、私が伝えたいのは「我々は何のために、誰のために存在しているのか」ということです。当行には様々な部署がありますが、それぞれ役割が異なるだけで、「我々は地域社会や地域経済への貢献、お客様のために存在している」ということは共通していると考えています。私自身は現場を離れましたが、人事部長として現場目線やそういった思いを忘れず業務に向き合っています。
ダイナミックでありながら地域との繋がりも実感できる。
ここ数年、「日本には銀行が多いため地方銀行を再編して減らすべきだ」という議論があります。確かに単純に法人としての銀行の数だけを見ればオーバーバンキングと言えるのかもしれません。
ただ、日本全体を見渡してみると、そこには強弱があって個別にマーケットを見なければ正確なことは言えません。人口減少が激しい都市であったり県であったり、ボリュームが縮んでいくエリアにおいてはそのような議論があるのも必然でしょう。
ところが、福岡は人口が増え続けマーケットが拡大しています。40年程前の福岡市の人口は80万人程度でしたが、いまは160万人と2倍になっていますし、当面は増加傾向が続くという推計も出ています。全国を見渡してもこれほど成長ポテンシャルのある都市は限られます。
それだけのマーケットとポテンシャルがあるからこそ、ストラクチャードファイナンスや市場分野、国際分野などの業務もありますし、さらに福岡市はスタートアップ支援に力を入れていますが、我々もそれに同調して創業支援サロンを福岡市と北九州市に開設しています。
このように、東京と変わらないダイナミックな仕事に携わることができ、それが地域貢献に繋がっていることをダイレクトに感じ取れるんです。メガバンクではそうはいかないと思いますが、地方銀行だからこそ直接お客様の喜びの声も聞けますし、それが一番のやりがいではないかと思います。
もともと当行は創業支援をしたり中小企業の育成をしたり、そういったことに力を入れてきた商業銀行が源流です。そういったDNAは今でも脈々と流れており、お客様もそういう目で見てくださっていると思います。我々がお取引をいただいて上場企業になられたお客様もたくさんいらっしゃいます。この福岡という地のおかげで、お客様そして地域の発展と一緒になって我々もここまで成長させていただいたと思います。
地方銀行の“真価”と向き合う。
新卒採用の話になりますが、2022年に実施された「マイナビ・日経 2023年卒大学生就職企業人気ランキング/九州・沖縄編」で当行は1位に選ばれました。銀行業界に限ったランキングでもメガバンクに次いで4位となり、我々がこれまで向き合ってきたこと、そしてそのメッセージが学生の皆さんにも伝わった結果ではないかと思います。
我々が向き合い追求してきたこと、それは「地方銀行の“真価”とは何か」「私たちだからこそ提供できる“進化”とは何か」ということです。
最近では金融持株会社の設立が目に付くようになりましたが、我々は一足早く2016年に西日本フィナンシャルホールディングスを設立しました。また、当時の金融持株会社の多くは持株会社の下に複数の銀行がぶら下がる形がほとんどでしたが、我々のグループストラクチャーは他の金融持株会社とは異なります。銀行がベースにありつつも、その他にカード会社や証券会社、保証会社、サービサー、コンサルティング会社、IT会社と、地域の様々なニーズをワンストップで支えていくという思いがあり、業種を超えた幅広い持株会社体制にしたのが始まりです。
その体制をさらに強化すべく、2022年10月には九州で首位の業容を誇る九州リースサービスと九州でトップクラスのICT企業であるシティアスコムをグループ化しました。また12月にはDXのコンサルティングで高いノウハウを持つイジゲングループもグループ化。これによって、地域のお客様に対して「全方位型」の支援ができる体制が整いました。
思いを共有する仲間とともに。
お客様の様々なニーズにワンストップで、しかも“スピーディー”に対応するためにはバンカーだけではなく、それぞれの分野で専門性を持った人材が必要となります。
従来は外部の専門家と連携してソリューションを提供することが一般的でしたが、その機能を内製化することでスピーディーな対応が可能となります。そこで、5年程前から本格的にキャリア採用を開始しました。銀行員がほとんどの組織ですから、どんな化学反応が起きるのか、私も興味がありました。
銀行は国からのライセンスを得ていますし、一般企業よりも厳格な業務を求められる分野が多くあります。銀行以外から入行される方にとってはカルチャーギャップがあるかもしれません。ただ、当初はそのような反応もありましたが、いつの間にかキャリア採用の方も、もともといた行員もどちらも馴染んでいくんです。今や50人以上の方に入行いただいていますが、うまく融合している印象で、定着率は非常に高いですね。
ベースとして、福岡・九州という土壌はオープンマインドでダイバーシティ&インクルージョンが地域に根付いているように思います。当行としても多様性ある人材が活躍できる組織風土を目指していますし、それができつつあるのではないかと思っています。
お話しした通り、グループとして事業領域が広がっていますから、これまでに一生懸命仕事に向き合い専門性を養ってこられた方であればグループ内で活躍できる場がきっとあるはずです。そのような方にはぜひ仲間に加わっていただき、思いを一緒に広げていってほしいと思います。