九州電力グループのコア事業を一手に担い、未来の再エネ産業を築く。
九電みらいエナジー株式会社
代表取締役社長執行役員 水町 豊
1964年、福岡県生まれ。九州大学大学院修了後、1989年に九州電力株式会社へ入社。火力発電本部経営計画グループ長、同本部域外電源開発室長、エネルギーサービス事業統括本部火力発電本部部長などを経て2020年6月より現職。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
九州電力グループにおける再生可能エネルギー事業の成長を担う。
まず私自身のキャリアとしては、1989年に九州電力に入社してから、長く火力部門で仕事をしてきました。当時日本で最大級の石炭火力発電所だった長崎県の松浦発電所でキャリアをスタートし、オペレーターや技術管理業務を経験してから本店に異動。発電所の設計・建設業務に携わりました。その後、苅田発電所で新しく石炭火力を作るプロジェクトに参画。実際に自分で設計したところに行って、建設工事や営業運転後の管理、メンテナンスまでをひと通り経験しました。
そこから本店や発電所を何度か行き来しながら、新規事業開発、グループ会社管理など様々な経験をしました。思い返してみると、現在に至るまでの大きな転換点は長期エネルギー戦略グループでの経験ではないかと思います。
「現時点から10年後以降の電源をどうするか」という戦略を立てる部署だったのですが、長期的なエネルギーを議論する際に再生可能エネルギーは不可欠ですので、成長を加速させるために九州電力グループで点在しているグループ会社を統合するプロジェクトに着手。このプロジェクトが現在の九電みらいエナジーを形作っていくことになりました。
エネルギーの安定供給、低コスト化、CO₂削減-すべてをバランス良く実現するための事業統合を推進。
現在の九電みらいエナジーは、洋上風力発電事業が中心となっていますが、これからは九州電力グループ内における再生可能エネルギー事業を統合し、それをコア事業にしていこうという動きが加速していきます。
もともと、再生可能エネルギー事業の統合によって新規再エネ電源の開発をスピーディーに行うために、九電みらいエナジー設立というプロジェクトは発足しました。しかし、新規の電源開発は大きな資金を必要としますので、設立時の小規模企業にとっては開発リスクが非常に大きいんです。
特に、大型の地熱発電事業と水力発電事業は開発リスクが大きく、これらを一気に九電みらいエナジーで担うのは難しかったため、九電みらいエナジー設立時には、この二つの事業は九州電力に残したまま会社を立ち上げることになりました。
そこから10年、会社も軌道に乗り、「脱炭素」の世界的な加速といった環境変化も追い風となるなかで、いよいよ2024年4月に九州電力の地熱発電事業を弊社へ統合、その後準備でき次第水力発電事業も統合する予定です。当社グループは、エネルギーの安定供給と低コスト化、そしてCO₂削減という三つのバランス良い実現を目指しています。
経営資源の移管によって業務環境も大きく変化。
九州電力の地熱発電事業を九電みらいエナジーへ統合する際には、事業承継という形をとりますので、「ヒト・モノ・カネ」といった経営資源もすべて移管します。例えば人材で言えば福岡の本社オフィスで30名弱、発電所などの現場も含めれば90名弱の増員となります。
現在の本社オフィスは3年前に移転したのですが、当時からすでに事業統合を前提にしていましたので、地熱の増員には十分に対応できる環境を整えています。ただ、この先の水力発電事業統合となるとさらに規模も大きくなりますので、そのときはオフィスをどうするか再検討が必要になるでしょうね。
また、現在の体制としては、全体の6割程度が九州電力からの出向者です。出向者と比べて、九電みらいエナジー社員には給与差があるのが現状ですが、これも重要課題と認識しており、給与・評価制度変更の検討に着手しています。中長期的には九州電力の給与水準を追い抜きたい、それぐらいの気概を持っています。
会社設立以来、「SPEED&CHALLENGE」をモットーに掲げてさまざまなチャレンジを続けてきましたが、この事業統合もまた私たちにとって大きなチャレンジとなっています。
「再エネ主要5電源」すべての大規模プロジェクトに携わる。
九電みらいエナジーで働く魅力はいくつかありますが、まずは再生可能エネルギーの主要5電源と言われる「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「バイオマス」のすべてに関われることでしょう。この5電源すべてを自社で保有する事業者は国内では私たちだけです。
それぞれの発電方法に特徴があるため、これらを組み合わせることにより、お客さまのニーズに幅広くお応えしたり、リスクを分散できます。また、社員も再生可能エネルギーのスペシャリストとして経験や知見を深化させることができます。
また、拠点を九州・福岡に置きながら、かなりのビッグプロジェクトを経験できることも大きな魅力ではないでしょうか。私たちはそれぞれの発電施設の調査・計画から、資金調達、建設、発電、管理、そしてメンテナンスに至るまで、すべてを一貫して実施しています。
例えば、現在建設中の「北九州響灘洋上ウインドファーム(写真)」が完成すると、その時点では、国内最大のウインドファームとなります。これは北九州市の全世帯の年間使用電力の4割を発電するプロジェクトになります。これほど大きなプロジェクトに携われることは、そうそうあることではないでしょう。
スピード感とダイナミックさを生み出す組織体制と風土。
これらのプロジェクトを小規模な組織で実現しているのも私たちの特徴です。数年先に水力発電事業を統合したとしても、全社員は1,000人に達しません。親会社である九州電力の従業員数は12,300人程度ですので、私たちがどれだけコンパクトな組織かご理解いただけるでしょう。
また、一般的な電力会社ではプロセスや分野ごとに担当が分かれており、かなりの経験を積んだベテランが中心となって関係個所と都度調整を行いながら仕事を進めます。しかし私たちはそういった規模ではありませんので、若い人材一人ひとりが広範囲を担当し、ダイナミックに仕事を進めているのです。
このようにコンパクトな組織でスムーズに仕事を進めるには日ごろのコミュニケーションが欠かせません。会社全体として、本社オフィスと5ヶ所の現場があるぐらいですので、私自身も現場の担当者と直接話す機会が非常に多いんですね。社長室もいつも扉を開けていますので、担当者が前を通るときに「ちょっといいですか」と、そのまま相談を受けることもよくあります。
プロジェクトメンバーがどういう考えを持っているのか、何に困っているのか、といったことをすぐにキャッチアップできるため、ロスを生むことなく、また互いに補完し合いながらプロジェクト全体を推進できます。だからこそ、事業としてのスピード感やダイナミックさが生まれているのです。
再エネ産業の「みらい」を、私たちがつくる。
再生可能エネルギーの世界というのは、まだ現在進行形で進んでいる産業ですので非常に変化が大きいんですね。また、入札によっても事業計画が変化しますので、臨機応変に事業運営をしていく必要があります。もちろん中期計画はきちんと立てますが、都度変化を盛り込みながら運営していくという感じです。
しかし、そういった運営を繰り返していくと、会社がどこに向かっているのか見失う危険性が出てきます。ですから、もっと先、数十年後に向けてどのように進んでいこうかと、若手社員を中心に議論を進めているんです。
実はそうやって話し合われた結果がそろそろ形になります。それを2024年7月の10周年のときにお披露目しようと思っています。10周年という節目になりますので、ここからまた次のステージに向けて加速していくぞ、と皆で決意を新たにする予定です。
キャリア採用についても、これまで通り積極採用を続けていきます。九州・福岡にベースを置きながら、ビッグプロジェクトに携わりたい、エネルギーという観点で地域に貢献したいという方にとっては、とてもチャンスに溢れた会社だと思います。ぜひ私たちと一緒に、これからの再エネ産業をつくりあげていきましょう!