株式会社みんなの銀行
高畑宏太さん(仮名・事業企画) 28歳
福岡への移住決断を後押しした、理想的な会社との出会い。
東京のITベンチャーでFinTechサービスに携わっていた高畑さん。仕事にやりがいはあったが、今後暮らしたいところを考えると、それは東京ではなかった。いくつかの地方都市に目を向け、もっとも惹かれたのは福岡。「キャリアを妥協することなく、福岡で暮らしていける道はないか」と模索し、転職活動の結果、出会えた会社はまさに理想的な環境だった。転職から1年、新型コロナウイルスの拡大や子どもの誕生など多くの環境変化の中で、「大変ですが楽しくやっています」と笑う高畑さんに、転職活動を振り返ってもらった。(※本記事の内容は、2021年4月取材時点の情報に基づき構成しています)
- 転職回数
- 1回
- 転職期間
- エントリーから内定まで98日間
転職前
- 業種
- ITサービス
- 職種
- 事業企画・推進
- 業務内容
- Fintechサービスの企画、プロジェクトマネジメント
転職後
- 業種
- 銀行
- 職種
- 事業企画・推進
- 業務内容
- デジタルバンク「みんなの銀行」のアライアンス推進
やっぱり地方で暮らしたい。見つめ直した“生き方”の先にあったのは、福岡での暮らしだった。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
2021年5月からサービスを開始予定の『みんなの銀行』のアライアンス推進を担当しています。『みんなの銀行』は、店舗を持たず、かつ、銀行としてのすべての機能をゼロからデジタルで構築している、日本初の“デジタルバンク”です。個人向け金融サービスが中心のB2C事業と、銀行機能を異業種の法人などに提供するBaaS(Banking as a Service)事業が主軸で、私はBaaS事業に携わっています。従来の銀行が提供してきた商品やサービスとはまったく異なるデジタルサービスを基軸に、様々なビジネスパートナーに対してアライアンスを提案し、新しいビジネスを創造していくのが私のミッションです。※2021年3月取材時点
入社前のご経歴を教えてください。
出身は愛知県で、地元の大学で情報工学を学びました。卒業後は上京し、大手SIerに就職。主に金融機関向けのERP導入提案営業を4年間経験しました。その後、前職であるITベンチャーに転職し、Fintechサービスの企画提案や導入後のグロースアップ支援、システム開発のプロジェクトマネジメントなど幅広く携わっていました。
今回の転職のきっかけは?
前職の事業が思うように進まず、経営状態が良くなかったというのも一つの理由なのですが、もう一つ大きな理由として、「地方に移住したい」という思いが強かったことがあります。就職で上京して、ラッシュ時の満員電車を初めて経験したのですが、これから毎日出社して帰宅して、と考えると、「これは地獄だな・・・」と感じましたね(笑)。休日もどこへ行っても人が溢れていますし、アウトドアのアクティビティが好きなのですが、なかなか楽しめる環境が少ない。いろいろ考えると、東京で長く暮らしていくのはイメージしづらいなと思っていたんです。それからしばらく、仕事はおもしろくやってきましたし、ビジネスやキャリアを考えるとやはり東京は魅力的でしたが、今後どんなところで暮らして、どんなキャリアにするかという“生き方”をあらためて考えると、「やっぱり地方で」という思いが強くなり、具体的な移住や転職のシミュレーションを始めることにしました。
なぜ福岡を選んだのですか?
地元の愛知を始め、いくつかの地方都市に目を向けたときに一番惹かれたのが福岡でした。福岡は都市としての規模感がちょうど良く、空港へのアクセスなど交通の利便性も良い。企業誘致やスタートアップ支援などもあって産業も活発で、都市としての成長と活気を感じました。前職で福岡出張したときに、仕事終わりに天神あたりで食事をしたのですが、飛行機の搭乗予定のわずか数十分前に店を出て、それでも搭乗に間に合ったんですよね(笑)。この体験は自分の中で印象に残っていました。地方で暮らしたとしても、ビジネスシーンで東京へ行き来することは多いと思うのですが、これだけ利便性が良ければ、まったく障壁にならないな、と。
新しい銀行を立ち上げる。そんな経験はなかなかできるものじゃない。
転職活動はどのように進めましたか?
まずはネットで「福岡」「移住」「転職」といったキーワードで情報を集め、その中でリージョナルキャリアの存在を知ることになりました。福岡の企業や求人についてはよく知りませんでしたし、UターンやIターン転職に強みを持つリージョナルキャリアであれば“話が早いかな”と思ってエントリーしました。福岡で暮らすことと同時に、キャリアについても妥協したくなかったので、Fintechに関するキャリアを活かせる企業があるか相談すると、『みんなの銀行』について教えてもらいました。もともと、“銀行以外の事業者が手掛けるFintech”に限界を感じているところがあって、「銀行こそ本気でFintechに取り組めばいいのにな」と思っていたので、自分が思い描いていたことをまさに実現しようとしている『みんなの銀行』は、とても魅力的でした。しかも“銀行を新しく立ち上げる”というフェーズで携われることは一生に一度あるかないかだろうと思いましたから、またとないチャンスと感じて、応募するに至りました。
今の会社に決めた理由(ポイント)は?
面接の際に『みんなの銀行』のビジョンやミッション、バリューをひと通り聞いて、「ちゃんとビジネスとしてのストーリーが描かれているな」と感じたことです。理想だけではなく、実現したいことは理に適っていて、私が今まで“銀行じゃないと難しい”と感じていたFintechが、カタチになるかもしれないと実感できました。『みんなの銀行』に先行して、同じくふくおかフィナンシャルグループのiBankマーケティング(株)がFintechサービスを展開していて、ちゃんとした実績があったことも信頼に繋がりましたね。内定を頂いた際には「ぜひとも出来るだけ早くジョインして欲しい」と熱量高くオファーして頂き、「すぐに転居は難しいだろうから、まずは東京での勤務開始で構わない」ということでしたので、スムーズに意思決定することができました。
転職してから今までを振り返っていかがですか?
入社から1年が経ったのですが、振り返ると想定外のオンパレードだったかもしれません(笑)。というのも、入社してすぐ新型コロナウイルスが拡大して、福岡での研修からなかなか東京に戻ることができなかったり、東京に戻ったら今度は在宅勤務が始まったり、プライベートでは子どもが産まれたりと、何かと慌ただしい1年でした。それでも、いろいろな環境変化の中で家族と一緒に試行錯誤しながら、会社としても猛烈なスピードの中でチャレンジしている環境のど真ん中にいられるのは、単純に楽しいですね。銀行を立ち上げることの大変さを身を持って感じていますし、これから自分が成し遂げていかないといけないことの責任の大きさを考えると、良い意味でプレッシャーもありますが、引き続きワクワクしながら毎日を過ごしています。あっという間の一年で、実はまだ福岡への移住も実現できていないのですが、福岡への思いはまったく冷めていません(笑)。これからの公私の状況を見ながら、また本格的に考えていきたいですね。
これから転職を考えている方にアドバイスをお願いします。
仕事や人生に対する価値観は人それぞれだと思います。その中で、自分が大切にしたい価値観は何なのかを明確にすることが大切なのかなと感じます。お話ししたように、転職して今までの間は想定外の連続でしたし(笑)、これからどうなっていくのか読めないこともたくさんあります。それでも、自分の価値観に従っているので納得感がありますし、自分が納得しているからこそ家族も私の意思を尊重してくれているんだと思います。転職に限らず、変化が大きい時代の中では、変化に振り回されないような自分自身の軸をしっかり持つことが大切なのかもしれないなと、今回の転職から感じました。